沼津へ

沼津へ行ってきました。沼津は伊豆半島西側の北端の港町です。地図だと、この辺。

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僕の原付旅の幾つかの目標地点があって、その一つが静岡県静岡市駿河湾の中程に位置する清水港。GoogleMap先生で経路検索をすると片道140km強。沼津は片道100km程度で距離から言うとその約3分の2になります。清水港へ行きたいのはそこの魚市場の定食がやたらうまくて安いと聞いたからですが、沼津もまた駿河湾を代表する大きな港です。12日は夏休みだったのですが、かみさんの許しが出たのでこれ幸いとツーリングに行く事にしました。
当初の予定では5時起きして件の清水へと思っていたのですが、前日までの疲れもあって起きてみたらばほぼ7時。だいぶ遅くなってしまったので、とりあえず「行ける所まで行って戻ってくればいいさ」ときわめていい加減な計画でスタートしました。先日の房総ツーリングで荷物箱のベルト固定用のループが破損しまったので今回は箱無し。ゴムロープのみの軽装で出発。
R134を西へ、小田原からは旧1号線を北上して箱根の芦ノ湖までが当初の目標でした。そこからは時間をみて行ける所まで行ってみよう、そんな気持ちでR134を一路西へ。
流石に連休中でR134は既に軽く混雑していましたが、それでも海辺の道路は走っていて気持ちがいい。サザンで有名な鎌高前あたりでは潮の香りと波に遊ぶサーファーが見えて、鎌倉住まいをいつも嬉しく思います。通勤は辛いんだけどね。
湘南大橋まではそこそこのペース、その後大磯までおなじみの渋滞に巻き込まれ、R1へでてから最初の休憩を取る。コンビニで缶コーヒー。定番だけど逆らいもせずに買ってしまう。ツーリングにでたのかビッグスクーターに乗ったお兄ちゃんとか、家族連れの車など眺めながら駐車場の端でシートに腰掛けて一息。

最初の休憩にてコーヒー
缶をゴミ箱に放り込んで再びR1へ。大磯には小学生の頃少し住んでいた事があって、あたりの風景その他、懐かしくもなじみ深く感じる松の並木や平屋が続く大磯〜二宮の国道沿いは、いまだ東海道情緒が残っていてなかなか良いのです。前回ここを走ったのはもう昨年の事で、その時は初のロングツーリングでかなり緊張し、肩にずいぶんな力が入っていた様に思う。最初に休憩を取ったのも国府津を過ぎてからで、いろいろと無理があった。
反省を込めた訳ではないが今回はのんびり行こうと、国府津手前で道を逸れて海岸に降りる。湘南の浜は逗子から延々大磯まで砂浜が続いているが、大磯の漁港を越えるととたんにげんこつ大の石がゴロゴロと転がる石の浜になる。砂浜よりも清潔感があって嫌いではないのだが、その割にもう20年くらい浜に降りた事が無かった。久々にそんな海が見たかった事もあって、エンジンを止めた。

国府津の浜
幼少期の思い出も含め、曇り空にどうも写真がセンチメンタルになってしまう。潮風を胸に入れ、小石を拾ってポケットにおさめる。エンジンを再始動させ、箱根を目指した。
R1/134方向から箱根にのぼる際は箱根新道を使うと早くて楽だ。湘南バイパスから進むとあっという間に山中を進む事が出来る。だが、悲しいけど、これ、原付なのよね。ということでおなじみの旧道を黙々と進む。いつもうらやましく思うのは風祭の鈴廣「かまぼこの里」だ。ここではこの地域の地ビールである箱根ビールを吞む事が出来るのだが、ツーリングではそれはかなわない。しかしこう、実にいい場所にこの施設があって、通るたび喉が鳴る。この日もちょうどかまぼこの里の前あたりで軽い渋滞に巻き込まれて悔しい思いをした。いや、確かにまだ朝なのだがw
これまたおなじみ、いつも給油するGSでタンクを満タンにする。箱根の山の中はガス代が高いし、それ以上に途中でガス欠だけは何があっても避けたい。前後して走っていたカブとモンキー(だったかな?)の二人組が滑り込んで来て同様に給油。原付ツーリング、結構見かけるので嬉しい。
後はひたすらにアクセルを開けて箱根を登って行った。全開で40km出るか出ないかというレベルなので、後続車両に適当に譲りつつ進む。昨年に比べたらずいぶんとライディングは旨くなっていると思うのだが、まぁ、原付だし。後続に譲ると言っても舐められるとそれも怖いので適度に主張。気合いじゃぁああああ! とか言うとまたからかわれるのであれだけど、おとなしく登った事にして下さい。芦ノ湖に到着したのはほぼ11時、出発が遅かった割にはなかなかのペースだった。芦ノ湖の遊覧船乗り場の前で写真を撮っていたら、隣に停まったスクーターが鎌倉市ナンバー。結構いるのね。

芦ノ湖にて。奥のスクーターが同郷の方でした。

さてどうすんべえ、清水は無理だけど沼津くらいは行けるだろうと、峠を下る事に。マピオンを引っ張りだしてルート確認、そのままR1を進行。この前は箱根峠の交差点からR20に入って熱海に降りたのだが、今回は直進。沼津市外まで一気に下る。この道、子供の頃に通った事は多分あるのだけど、覚えている限りこの25年くらいは通っていない。眺望が広く駿河湾が目前に迫ってかなり感動した。峠の楽しみは越える喜びだけでなく、越えた先の展望にもある。エンジンブレーキを併用しながら、楽しみながら街へ降りて行った。
山上が涼しかったので、下界へ下るに連れて気温が上昇、一度冷却されていただけに暑さがしみる。ほぼ初めての沼津の街はそんな訳で、あぢぃ、といういささか力の抜けた感想とともに迫ってきた。しかし広い。街の規模が想像以上に大きい。交通標識を頼りに港を目指した。港まで出れば、何かあるだろう。多分、うまい飯屋があるかもしれない。この時点で、まだ沼津港の何たるかを全く理解していなかったのだ。
多少迷いながら到着した沼津港は、想像を超えて大きな港だった。より正確には港に隣接した観光施設が大きい。飯屋があるどころではなくて、飯屋が多すぎてどこに入っていいものやら見当がつかないレベル。ざっくり見て回って、財布を確認して、飯+土産には足りないことが分かった。もう一度鞠号*1にまたがって街中をキャッシュディスペンサーを求め彷徨うが、コンビニには無いし、郵便局も見当たらないしで、相当に時間を費やしてしまった。遂に郵便局を発見して現金を入手、港に戻ると目の前のコンビニに「ATM」のでかい表示が...。最初に見逃したこちらの完敗。
さらっと臨港施設を回って飯屋の確認をして、港の目の前の「むすび屋」に決定。選定理由は個人経営と見える規模のこぢんまりとした店であり、かつ店先に人が並んでいたから。まぁ間違いは無かろう。待つ事20分ほど、ようやく店の中に通される。メニューは店の表にも並んでいたので、十分に悩んで海鮮おまかせ丼に決定。1300円はちょっと(僕の財布には)高いと思ったが、内容は良いだろうと判断した。

沼津港、むすび屋
そして選択は大正解だった。カウンターに通されて、注文をしてから出てくるまでかなり待たされたが、その間同じカウンターの端の方に座っていた夫婦の下に届けられたマグロの刺身定食をみて内容に間違いない事を確信。かなりのボリューム、そして艶のある切り身。これは丼ものも間違いないに違いない、そう期待して登場を待った。で、これですよ。いやぁ、旨かった!

海鮮おまかせ丼
直前に房総を走り、保田の「ばんや」で食事をしていたが、休日のばんやの内容を完全に凌駕したクオリティ。ばんやは平日に行くとあたるのだけど、最近混み過ぎていて休日は普通に旨い程度。しかし、沼津の刺身は旨かった。連休中でこれってことは、普段どうなるんだ? 空腹は最大の調味料ともいい、この時点で実は14時近く、もう完全にハラヘ! な状況ではあったのだが、それを換算しても旨かった。大満足をして店を出て、土産物屋で家族への土産を入手、今度は十国峠を目指す。同じ道はなるべく走りたくないし、R1の長い(単調な)上りは回避したい。熱海街道を走って行くとおなじみ熱海峠に出るようなので、そちらを選んで走り始めた。

狩野川
狩野川を渡り、東を目指す。沼津は川の街でもあり、狩野川が街を二分していて初めて走ると結構悩まされる。さらに(いつものごとく)市内で少し迷いながらも熱海街道になんとか突入。今回は新規導入したiPhoneが大活躍。ナヴィって便利だ。熱海街道も始めはそれなりの交通量があったのだが、山道に入ったとたんに前後から車の姿が消えた。どこの舗装林道? と思わず聞きたくなるような道は次々に右へ左へカーブしていて大興奮。やっぱり山はこうでないとね。

熱海峠を目指す
またも全開続きでがんばる鞠号を褒めながらガスって来た道をしばらく登った。気温が徐々に下がる。本当にこの道で良いのかと悩み始めた頃に県道11号(走行中)と20号のT字路の標識。左折して、十国峠はすぐだ。結構登って来たし、鞠号もがんばったので休憩する事にした。あたりのガスが濃い。ガードレールの向こうが見えない。

鞠号@十国峠
大きなお兄さん(ZRX1100と隼だったかな?)の脇にちょこんと停車させ、コーヒーは飽きたので水を買う。お兄さんたちに乗って来たお兄さんたちはキリンにでも出てきそうながっちりしたタイプで、なんとなく原付ライダーは身を小さくしてしまうのだ。べっ、べつに小さいからってあんたたちになんか負けないんだからねっ(気持ちだけ)。妙なツンデレ(デレ抜き)モードに入りつつ喉を潤してから乗車。R1を目指して走る。自家用のワンボックス車が霧を恐れてかペースダウンしていてうざい。中途半端なスピード(40km弱くらい)で走られると、原付は非常に苦しい。後ろからは次の車が迫ってくるし...。抜き去りたいが上りで踏ん張れないし、ワンボックスがまたデカクてどうにもならない。我慢しつつ背中で存在を訴える。轢くなよ〜当てるなよ〜頼むよ〜。
実は時間も気になっていた。家族への土産は釜飯で、それが今日の夕食なのだ。この辺りで既に16時過ぎ。どう見ても最低あと2時間はかかる。こんなとき、高速に乗れる普通車がうらやましい。旧道に入り、宮ノ下あたりで渋滞が始まった。始まったといっても、付き合っていたら何時になるか分からないので路肩をひたすらに進み、なんとか下山。R134に戻ってひた走り、湘南大橋を渡ったあたりで集中力と膀胱が悲鳴を上げ始めた。へろへろとGSに入って給油し、隣のコンビニでアイスを購入。はふう。面白い事にあれだけガスっていた天気が、峠を越えたらきっぱりと晴れてしまった。美しい夕焼けをしばし眺める。
休憩、夕焼け
この時間、R134はまず渋滞しない。少なくとも江ノ島までは問題ない。快調に飛ばして19時過ぎに帰宅。さて、次は清水だぞ。

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房総単機旅団――20090812 沼津へ

*1:おなじみCL50の事だ。